皆さん、こんにちは。
東京ディズニーランド、ディズニーシーは、コロナ禍で再開した7月1日以降「オンライン限定の日付指定(eチケット)」でしか入園できない状態が続いています。
ディズニーパークを運営するオリエンタルランドは、11月に休園前に販売したチケットを持っているゲストを対象に「抽選による入園制度」を発足、12月1日から当選者の入園を開始しています。
この「休園前に販売したチケット」とは、名刺サイズの紙製で表面がキャラのイラスト付きで、通称「紙チケ(紙チケット)」と呼ばれているものです。この「抽選による入園」には紙チケの中でも特殊な券種の「株主優待券」でも参加できるのが、大きな注目点です。
今回は、その「株主優待券/株主用パスポート」について深堀りした記事を書いてみました。
実はこの券種、「転売チケットの主役」ともいえる存在。ディズニーではチケットの不正譲渡・転売は禁止なのに、今でも金券ショップには「株主優待券」が山積みされています。
あなたが何気なく入手した「株主優待券」。もしかしたら、今後、トラブルのもとになるかも知れませんよ。
ディズニー株主優待券は、転売チケットの主役
日本を代表するテーマパーク・東京ディズニーランド、ディズニーシー。お出かけしたいけれど、1日パークを楽しめる1ディパスポートは大人で8,200円と結構お高めです。そこで、どこかにお得なチケットはないかな?と探す人は多いと思います。
そういった人がたどり着くのが、街の金券ショップやネットのフリマ、オークションサイトで、それらで売られているチケットの多くが「株主優待券」という券種なのです。
これは、2020年6月の公式の画像。株主優待券に関するサイトの1ページでオリエンタルランドが休園前や休園後に株主に配布した株主優待券の一覧表です。
株主優待券とは、オリエンタルランドが株主に対して配布する無料の1ディチケットで、1年に2回、6月と12月に配布されます。
オリエンタルランド自体は優良企業で、投資家の間では人気の株式銘柄です。多くの株を保有している投資家の中には、1年間で10枚以上株主優待券をもらえる人も。でも、投資家全員がディズニーファンとは限らないので、株主優待券も使わないまま、溜まる一方です。
街中の金券ショップには、そういった株主が持ち込んだ株主優待券が分厚い束になってショーケースに並んでいることが多いですね。
株主優待券の基本については、こちらの記事をご覧ください。
https://sskumatei.com/2721.html
株主優待券の利用期限はいつまで?
ディズニーのチケットの利用期限は、購入日から1年間です。株主優待券は「非売品」なので購入日はありません。利用期限は株主優待券が配布される6月、12月の1年後の同月の月末までで、一般のチケットと同じく1年間となります。6月に届いたら、届いた日から来年の6月30日まで使えるということですね。
株主優待券のデザインは、配布時期によって毎回変わります。大体、その時期に開催されるイベントが採用されていますね。
先の一覧表のトップにあるドナルドの絵柄の株主優待券は、2019年のランドの夏イベント「ドナルドのホットジャングルサマー」のデザインです。これは2019年6月に配布されたもので、利用期限は2020年6月30日でした。
そして2020年2月29日にコロナ禍でパークが臨時休園に。当初は、1か月程度でで再開できるだろうという認識で、一度、利用期限を2020年9月30日までに延長しています。
その後、休園期間の長期化が決定的となり、ドナルドの絵柄の株主優待券の利用期限は2021年6月30日に再度延長されました。
そして、今回の紙チケの「抽選による入園制度」発足に合わせて、利用期限が2022年1月31日までと3度目の延長が決定。コロナの影響でチケットの利用期限が3年に伸びたなんて、前代未聞の珍事です。
こちらは、12月のオリエンタルランドのホームページの株主優待券のサイトの画像です。今年も例年通り12月に「株主優待券」が配布されました。絵柄は「ベイマックス」。
ちなみに③のミッキーの絵柄は、2020年4月に大々的にオープンイベントを開催する予定だったランドの新エリアがテーマになっています。ミッキーのコスは、いまだに開業できないフォレストシアターで上演する予定のショーの衣装です。ミッキーの笑顔がなんだか寂しそうに見えるのは私だけ?
ベイマックスの株主優待券の利用期限も、他の3種類の株主優待券と同じ2022年1月31日になっています。コロナ禍の影響で、今は2022年1月31日まで使える株主優待券が4種類も揃っている状態なのです。
でもパークが再開した7月1日以降、販売済の紙チケや株主優待券はいまだに使用が停止したまま。使えない株主優待券を持っている人がたくさんいるのに、さらに新しい株主優待券を配布するなんてどういうこと?
オリエンタルランドもそういった矛盾は理解していますが、株を売買する時の株主との契約の関係で、勝手に配布を止めるわけにはいかないんです。ディズニー側に問い合わせて得た回答も、「株主優待券の配布は、今後も今まで通り実施いたします。」とのことでした。
株主優待券が普通に使えるようになるのはいつ?
パークが通常営業に戻れば、一般のチケットや株主優待券は休園前のように使えるようになります。でも、それがいつになるかはコロナ次第で誰にもわかりません。
個人的には、町のお医者さんで誰でも気軽にワクチンが接種できるようになるまでは無理だと思っています。早くても2021年9月以降ではないでしょうか。
本来、株主優待券は株主しか所有しない券種なので、使用できなくても影響を受ける人は少ないはずなのですが、現実は転売で株主優待券を入手した人が大量にいて、パークが再開しても手持ちのチケットが使えない~と困っているわけです。
オリエンタルランド側も、株主優待券が大量に転売されている事実は百も承知です。でも、民間企業がチケットの転売を阻止する法律って、実はないんですよ。それにディズニーのチケットはもともと「不正譲渡、転売禁止」ですから、オリエンタルランド側が転売チケットを持っている人に対して配慮する筋合いもない。むしろ被害者的立場です。
オリエンタルランドがチケットの不正譲渡、転売禁止を公式に明記したのは2016年からです。その頃から社内に「転売チケットGメン」のようなチームを編成し、フリマサイトやオークションを監視してチケットの出品があれば主催者に削除を求めたり、出品者を追跡してチケットを無効化するなどの転売撲滅対策を継続的に行っています。
転売チケットの無効化とは?
今回、紙チケ対象の「抽選による入園制度」に株主優待券を加えたのは、正当なチケット所有者の株主に対する配慮ですが、「転売チケット狩り」にも利用できると私は考えています。
ディズニーのチケットには1枚ごとに「チケット番号」が振られていて、株主優待券にもチケット番号が振られています。チケット番号はチケットごとの「マイナンバー」みたいなもの。つまり、番号からチケット1枚1枚が特定できるんです。
チケット番号をたどれば、それが株主優待券であり、どの株主に配布したものかも簡単に検索できます。
11月から受付を開始した紙チケ対象の「抽選による入園」の申し込みには申込者の個人情報の他に、事前にチケット番号の登録が必要です。そこで、申し込みに使用したチケット番号が株主優待券、申込者名が株主でない場合は、「転売された株主優待券での申し込み」であることが判明します。
オリエンタルランド側にしたら、「抽選による入園」制度のおかげで、転売チケットを持っている人の正確な個人情報がザクザク入ってくるわけです。
仮に私がオリエンタルランドのチケットGメンだったら、このビッグデータを使って、チケット無効化対策をあれこれ考えるでしょう。例えば、
●転売チケットの申し込みを抽選から除外する。当選の当落は公式のサイトからチケット番号を入力して確認する形式で、申込者には抽選を除外されたことはわかりません。
●転売と判断された株主優待券の当選確率を下げる。申し込みデータをチケットごとに区分けして、それぞれの枠ごとに当選確率を設定して調整。1ディは当たりやすく、株主優待券は当たりにくくするなど。
この制度では、チケットの券種のミックス応募が可能ですが、株主優待券が含まれているグループは、株主優待券に区分け。ここは連帯責任ということで。
といった感じで。「抽選による入園は」は12月に始まったばかりなので、1か月に何人当選するのか、当たりやすいチケットはある?といった情報はまだ集まっていません。仮にこれから株主優待券は当たりにくいという傾向が出てきたら、そういった裏事情があると推測されます。
オリエンタルランド側にしたら、株主優待券のチケット番号が判明しているので、転売分を一気に無効化することも可能ですが、今はそこまではしないかな?
いずれにしろ、「抽選による入園」に応募した時点で、転売された株主優待券を買った人のデータは、オリエンタルランド側にすべて握られることになります。
抽選に何度か応募したけど、全部外れた。ようやくパークが通常営業に戻ったから、さぁ、株主優待券を使ってめいっぱい遊ぶぞ~!と意気込んで出かけたら、「お客様、チケットの内容を確認したいので、こちらにおいでください。」と呼び止められた。えっ、何で何で???ってことに。
もしかしたらこういうことが、あなたに起こるかも知れません。